──「対話」収録後の3月1日、米・イスラエル両軍はイランへの軍事作戦を開始した。お二人に現時点(3月2日)でのご見解を伺った。

 吉田 今回の米国とイスラエルによるOperation Epic Furyは、イラン最高指導者の「斬首作戦」により、イランの体制変換を促そうとしている点で、昨年6月のイランの核施設破壊を目的としたOperation Midnight Hummerとは、明らかに次元を異にします。イスラエルと米国は、イランのプロキシー(代理勢力)が壊滅的打撃を受け、イラン本土の防空網も回復できていない現状を、イランの脅威を根本から取り除く「機会」と捉えていたと思います。

 米国の対外政策としては、西半球以外でジャクソニアン的介入を行ったという点で、国家安全保障戦略等で唱えた「ドンロー主義」を逸脱していると認識しています。

 何よりも、今後イランの報復攻撃は前回の「管理された」反撃とは比較にならないものとなるでしょうし、果たして米国が意図したShort Sharp Warで収まるのか。事態のエスカレーションについて予断を許さない状況です。仮に、本作戦が長期化した場合、中東地域の情勢が著しく不安定化するのみならず、米国の中東へのオーバーコミットメントにより、インド太平洋及び欧州における中国及びロシアの修正主義的な行動の余地が広がることも強く懸念されます。

 村野 今回のイラン攻撃は、第2期トランプ政権が示してきた「短期・限定重視」の軍事行動様式と一応整合的に見えます。ただし、イラク戦争の評価が今なお分かれているように、日本の国益の観点からより重大だったのは、正当性の議論以上に、長期介入が米国の軍事的・政治的余力を奪い、その間に中国の台頭を許した点でした。今回の事態も、短期で収束するのか、あるいは長期の不安定化を招き、リソースの分散に拍車をかける結果になるのかによって評価は大きく変わります。

(終)

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