令和時代の大学選び

 増谷 『公研』読者には保護者の方も多いと聞きました。大学事情がこれだけ目まぐるしく様変わりしている中で、どのように大学を選んでいくべきでしょうか。

 山本 まずは自分の子供の幸せは何か、ということをしっかり考えることが大切です。子供には向き不向きがありますから、「旧帝大」とか「MARCH」とかいったブランドだけで大学を選ぶのは悪手ですね。

 どういう教員が在籍しているかを知ることも大学選びの重要なポイントです。私は和歌山大学で1年生のメンターをしたことがあるのですが、その中に、京都大学に落ちて和歌山大学に進学したという学生がいました。先にも述べた「不本意入学」の学生ですね。彼は初めこそ、「仮面浪人」して京大の再受験をめざしていました。彼は私に再受験すべきかどうかと問うてきたので、私はこう答えました。「確かに京大でも君の学びたい学問は学べるけど、教員個人で見ればウチのほうが実績のある先生も多いよ」と。彼はいろいろな授業を受ける中で、和歌山大にも面白い先生がたくさんいることに気づき、残って学問に励む道を選びました。

 大学は教員の力に依存している部分が非常に大きい。東大に入れたからといって、そこに「いい先生」がいるとは必ずしもいえません。

 保護者の方が注意すべきなのは、授業の様相はご自身が学んだ20~30年前と比べて大きく様変わりしているという点です。昔の大学では、大教室で教員が一方的に話し続ける授業が一般的でした。就職に関しても、国公立や大規模私立はほとんど面倒を見てくれませんでした。しかし今や大規模大学であっても、学生一人ひとりに、きめ細かな対応をしてくれます。授業や就職、メンタルケアに至るまで面倒を見てくれる大学がたくさんある。小規模大学は特にそうした傾向が顕著です。

 こうした偏差値やブランド以外の側面があることを知らない保護者の方も多いかと思います。そこは大学側の発信不足ともいえるでしょうね。

 増谷 それでも最近は親子でオープンキャンパスに来られる方が随分と多いですよね。

 山本 オープンキャンパスは大学のいい面ばかりを押し出すイベント形式のものが多いですが、大阪観光大学の場合はマンツーマンの面談などをメインにしています。大学内部の実情を知る大学職員と受験前にじっくり話す機会を作れば、入学後に「なんか違うな」と後悔するリスクが軽減されます。

 ある学生から、こんな話を聞きました。友人が近畿の有名私学に入学したけど、1年間大学に通っていて、先生と話したことが一度もないのだと。周囲からは「いい大学だね」と言われるけど、そんなことは感じたことがないと漏らしていたそうです。

 増谷 一方で教員に声をかけられたくない、のびのびと遊びたい、という学生もいますよね。当人がどういう大学生活を望んでいるかを把握したうえで、実際の大学を見にいくことが重要ですね。

 山本 2022年度からは、高校生が主体的に問いを立て、大学などに話を聞きに行く探究学習が必修化されています。高校生と地元大学との距離は昔よりは近くなっているのではないかと思います。そこで地元大学の教員や学生と交流を持つことによって、高校生は体験レベルで地元大学を知ることができます。ブランドや偏差値といった指標の外側にある大学の魅力を知り、価値観を広げていくことで、学生もより自分の肌に合った大学選びができるのではないでしょうか。

(終)

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